※公開終了間近! イロモノなアタシ
幸せになって下さい、木村専務と。


皆の前じゃ言えないけれど、お父さんもあたしも応援しています。


「ありがとう……ございました」


シン、と静まり返る店内。


クミさんも泣いているし、蘭子さんも目にレースのハンカチをそっと当てた。


「湿っぽいわねー、明るく見送りましょうよ、さ、片付け片付け! 」


ママの一声でトラックが用意され、荷物を詰め始める。


これで本当にお別れ、もう二度とこの街には戻って来ないんだ。


ありがとう、浩さん。


いつも情けないあたしをはげましてくれて、それに、お母さんの思い出も分けてくれて。


心のよりどころみたいな店を失ったけれど、後1年でここから卒業します。


その時に、また、会いに行きますから。




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