※公開終了間近! イロモノなアタシ
それより何ですか、この粘りつくような視線をメガネの奥から送りつける生き物は。


敬介は顔面蒼白、握ったグラスも震えてるよ。


バレちゃうでしょ、こんなんじゃ。


ポーカーフェイスにしてて欲しいな、グラビアの時みたいに。


「あのさ、ナルってこの店に気に入った女の子しか連れて来ないの」


女の子って部分を強調してる、って事はあたしをまだデブゲイだと信じているらしい。


内定が取れた以上、入社するまではデブゲイと信じ込ませないと、何を会社に密告するか分かったモンじゃない。


「あたしー男だから、ダメかなぁー? 」
「ダメじゃないの、何でここにナルが連れて来たかっていうのを聞きたいのよ。ナルに」


攻撃の矛先を敬介に向ける、ここは守らなくちゃいけない。


空気変えろ、デブゲイに変身するんだ!


「米山さん、飲みましょうよ、せっかくだし」
「そうね、腰を落ち着けて話を聞きたいしね」
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