※公開終了間近! イロモノなアタシ
「ボトル入れてもいいですか? 」


やっと出た言葉は、それだけ。


本当は


「焼きウドンいいですかー? 」


って言いたいけど我慢した。


「いいわよぉー、何? 焼酎? それともウィスキー? あ、リシャールとか」
「ちょっと蘭子姉さん、それは高すぎるでしょ。焼酎でいいですよねー」
「あんまり飲めないけど、いいかな」


ウェイターさんに焼酎のボトルを頼み、水割りを作り始める。


すきっ腹に飲むのはこたえるけれど、仕方ない。


「じゃ、カンパーイ」
「カンパーイ! 」


グラスを合わせる音が虚しく響くほど、その後の会話が続かなかった。


「蘭子さーん、いいですかー? 」


他のテーブルから蘭子さんを呼ぶ声が掛かる、すると即座に席を立って行ってしまう。


やっぱり、プロでもこの状況は厳しいものがあるのだろう。


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