※公開終了間近! イロモノなアタシ
「ありがとうございます! じゃあ、何食べようかなー」
「美味しい店ある? この近くに」
「ありますよー、一杯」
頭の中には、近所のラーメン屋の「味元」やゲイの人がやっているレストランの映像がモリモリわき上がり、空いているお腹が一層鳴り出した。
その音を聞いて、鳴瀬さんが少しだけ笑ってくれる。
「シホちゃんてさ、食いしん坊だね」
「食いしん坊じゃなきゃ、こんなカラダにはなってないですねぇ」
「ハハハ……」
声を出して笑い出す、あんまり面白い事は言ってないけど。
「じゃあ、後でお店の前で待ってるよ」
「あ、でも、人に見られたら困るから、先にお店に行ってて下さい」
「どこにするの? 」
ゲイはお喋りだから、あのレストランは止めよう。
鳴瀬さんとあたしが一緒に食事をしている所なんて見られたら、月曜にはこの二丁目中の噂になるに違いない。
『シャングリラのデブちんと、マージナルの鳴瀬が一緒に食事してたわよー』
『やっだー、あの子デブ専なのぉー? イケてると思ったけどー』
まあ、噂になるだけで週刊誌のネタにはならないんだけど、それでも用心するに越した事は無い。