※公開終了間近! イロモノなアタシ
「二丁目の大通りを抜けて、右に曲がって100m先に深夜までやってる『アライヴ』ってカフェがあるんで、そこにしましょう」
「了解、じゃあ、待ってる」
「変装してた方がいいですよ、若い人が結構居るから」


まあ『アライヴ』なら、店子(ミセコ、二丁目で働いている人)はほとんど来ないし、安全だろう。


「ちゃんと帽子も持って来てるし、平気だよ」
「カツラにしますかー? 一杯ありますよ裏に」
「いいよ、そこまでは」


また笑うと、あたしの目の中をのぞき込む。


イケメンに見詰められるなんて初めての経験だし、緊張してしまった。


「じゃあ、また約束しよう」
「はーい」


また約束しよう……何か、また意味ありげな言葉。


カァーッと顔が赤くなってしまう、いけないぞ。


好きになっちゃうじゃないか、ゲイでデブ専かも知れないのに。


気持ちと顔の赤みを酔いに見せるため、グラスの中身を飲み干すと、また水割りを造り始める。


「飲むねー」
「ガバガバ飲んで売り上げ上げないとぉー」
「そっか、じゃあもう1本入れていいよ」
「いいですって、そんな」


ボトルを残したら、また次に来る約束になるでしょうに。

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