※公開終了間近! イロモノなアタシ
店が終るなり、大急ぎで後片付けをしてロッカーに向かう。


「シホちゃーん、ちょっとぉー」


蘭子さんが仕事の後のハーブティーを飲みながら声を掛けて来たけれど、今日は勘弁して欲しい。


「なんですか? 」
「あのさ、鳴瀬ちゃんとどういう関係? 」
「お客さんですよ、ただの」
「えー、マジーでー。ワケありみたいでさ、2人で楽しそうにしてたから」


勘の鋭い人だ、いや、皆そうだけど。蘭子さんアンテナは特別に感度がいい。


「きっと、蘭子さんのネタが知りたいんじゃないですか? 」
「あたしのデッカイナニがお気に召したのかしらねぇー」
「ですよ」


昨日のショーで、あんなにすり付けたんだからとゲラゲラ笑い出す彼女。


「じゃあ、お先に失礼いたします」
「おう、気を付けてぇー」


店を急いで出た時点で、ピカピカに光るドアに全身が映る。


ああ、もう少しマシな服装で来れば良かった。


こんなシワだらけのシャツに、デニムなんて、魔法が解けたシンデレラ状態だ。


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