※公開終了間近! イロモノなアタシ
対して鳴瀬さんはメニューに視線を落としたままで、綾女もあたしも見てはいなかった。


「カルビとタンと、サラダは要る? 」
「要りますねー、綾女は生野菜が好きだから」


そんな会話を淡々としていると、何も言っていないのに、料理が運ばれて来る。


「青山様、こちらでよろしいでしょうか? 」
「ありがとー、じゃあ焼いてくださーい」


運ばれて来たのは、分厚いサーロインに特製のシーフードサラダ、そしてコース料理の前菜一そろいだった。


「注文したの? 綾女」
「違うのー、いつもこれなのー」


一体いくらだろう、このスペシャルメニューは。


「では焼かせていただきます」


店長らしきヒゲの男性が、ゆっくりと網の上に肉を置く。


「俺達で焼きますから、大丈夫です」
「えー、でもー、ここでは焼いてもらうのーウチはー」
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