※公開終了間近! イロモノなアタシ
綾女の『食後酒殺し』という技は、奥義中の奥義として、あたしの中だけで伝説化されているのだ。


「何だこれ! 凄くキツくない? 」
「キツいですよー、でもーおいしいー」


スイスイとグラスを開けては注ぐ彼女、真島さんは2杯目で顔を覆った。


「もうダメだー」
「まだまだですよぉー」


こうして、送り狼作戦は皆、失敗するのだ。


綾女がサクッとカードで会計を済ませ、表に出る。


「ごめんね、払わせて。いくらだったの? 」
「んー、何か分からないけどー」


そうですね、分かりませんよね。


多分、6ケタなんだろう、でもお支払いはパパがしてくれますし。


「うぇっ……」


背後で真島さんの声がする、振り返るのは止めたいけれど、この状況では振り返らざるをえない。


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