※公開終了間近! イロモノなアタシ
鳴瀬さんは、あたしの手を取って下を向く。


21年間、こんな経験をした事が無い。


どうしたらいいんだろう、あ、でも鳴瀬さんは素敵だし、付き合うのもいいかも……。


ダメダメ、絶対ヤバイよ。


お客さんだし、それに芸人さんで、イケメンで、だから美人のタレントとかモデルとかと浮気して将来捨てられちゃうかも知れない。


でも、彼ならそうはならない気もするけど。


落ち着け、冷静になるんだ。


「ダメかな? 」
「ダ、ダメってワケじゃないんですけど、あの」
「時間かけて考えて欲しい、お願いだから」


見えないよー、ワケ分からないって。


そんな真剣なセリフ、かっこいい顔で言われても困るし。


「あの、鳴瀬さんってブス専ですか? 」
「え? 」
「ブス専門の人で、たまに居るみたいなんですけど」


ゲイじゃないなら、ブス専の可能性を探る。


「あのさ、ブスブスって言うけど、俺、顔がキレイとかブスで選んでない」
「前の彼女とかは? 」
「居ないよ、そんなの。ずっと機械いじりばっかり、だから彼女とか考えて無かった」


そんなにイケメンなのに?


嘘でしょう。

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