※公開終了間近! イロモノなアタシ
なのに、あたしはこれまで恋愛1つ出来ずに情けない思いをしていた。


好きな人が出来たって、あたしなんかには振り向いてくれないのは保育園時代にもう味わっている。


『しほはでぶっちょいだから』


そうだよ、例えヤセたとしてもこの顔は整形でもしない限り変わらない。


だけど、鳴瀬さんはこのままでもいい、って言ってくれてた。


初めて言われた『好き』という言葉に対して、どう応じていいのかワケが分からなくなって来る。


「ただいまー、あら、志穂ちゃんまだ起きてたの? 」
「うん、眠れなくてさ」
「早く寝なさいよ、夜更かしは美容の大敵なんだから」
「はいはい」


帰宅して来たお父さんに『シャングリラ』の跡を継ぎたいと言おうとしたけれど、口が開かない。


何の可能性に期待してんだろう、ムダだって思うのに。


鳴瀬さんとこのまま付き合って、結婚とかしたいと思ってるのか? あたしは。


甘いだろう、そんなの。


世間だってイケメンとブスの交際には、冷たいのだから。


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