※公開終了間近! イロモノなアタシ
そこには、鳴瀬さんが帽子にサングラス姿で座っていたからだ。


「あの、蘭子さんの同伴って」
「違うわよ、シホちゃんの同伴。でも、今日はお店に出なくていいわよ、ママからも言われてるし」


皆グルだったと今、気づかされる。


ハメられたが、ここで逃げたらあたしは蘭子さんに失礼をする事になると思い、気を取り直した。


向かい合って座ると、すぐに蘭子さんは店へ出勤して行く。


「鳴瀬さんも、一枚噛んでたんですね」
「蘭子さんに相談したら、何とかしてやるって言われて」


自分に自信が無い事に、彼も気づいていたらしい。


だから、一番親しい蘭子さんに相談をしたのだろう。


「可愛いね、今日」
「そうですか? こんなワンピース似合わないと思うけど」
「そんな事無い、まあ、皆でだましたのは悪かったんだけど、でも、似合うよ」


カフェを出て、丸丹の駐車場に停めてあった鳴瀬さんの車に乗り込む。


まるでデートだ、いや、向こうにしてみればその積りなのかも知れないけれど。


「どこに行こうか? 」
「いきなり言われても……」

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