嘘つきの恋
「椎野初良だよね?」



矢城が、私の名前を呼んだ。



それだけで嬉しかった。



私はゆっくり頷くと、彼はポケットからハンカチを取り出した。



薄汚れてるピンクのハンカチ。



「このハンカチ、君の?」



目の前のハンカチを見つめて。

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