オンライン中毒
「ちゃんと仕事してますよぉー? 今、木下さんとお話しているので、あっちへ行って山田さんも仕事してくださいね?」


ソプラノの甘えた声で喋られると非常に腹が立つ。私は白い紙を奪い取った。


「そうね、仕事に戻るわ! 貴方が戻ったらね! どれどれ? 19時頃、駅前のアマンドで待っています? 仕事中に凄いわねー! ナンパかしら?」


あみの肩がぷるぷると震えている。


事務内で人気ナンバー1の実ことだ。パソコンのキーボードを打ちながら、仕事に没頭している女達が、聞き耳を立てているのが分かる。


「仕事に戻ります。またね木下さん!」


すれ違ったあみは、木下に聞こえないよう、ぼそりと呟いた。


「おばさんの僻みは醜いですよ」


何を言っているのかしら? 中学も高校も大学もクラスで一番可愛かった私に。僻んでるのは貴方でしょうが。
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