オンライン中毒
「ゲームのせいじゃないわよ! こうなったのは……なんでそんなこと、今更言うのよ?」


「俺は俺でなにも言わなかったのは、お前にストレスを与えたくないのもあった。だが間違いだったと今は思う。

俺だってずっと考えてきたんだ。離婚も仕方ないと思っている。

叫んでいる親父を面倒見れないのなら、俺達の老後も眼に見えていることだろう?

テーブルに離婚届は置いておく。よく考えるんだな」


バタンと閉められた扉は、まるで囚人が捕らわれた、冷たい氷のような檻だった。


 ……あの人は何を言っているのかしら? 離婚を突きつけるのは私のはず。まさか旦那の方から、けしかけられるなんて!


自分から言うのと、相手から言われるのじゃ大分違う。プライドがズタズタだ。


ふざけるな! 私が捨てるんだよ。


そして貴方は後悔するんだ。TVで元気と私が並んでいる番組を見て。それとも新聞かしら?


――昔に出会った頃の旦那の笑顔が脳裏に横切った。


……なんで? なんでなのさぁ?
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