最後の血肉晩餐
　お洒落なターコイズのベルトの下には、薄茶色のズボンをはいていた。


上は細かい蝶が舞った絵が描かれている、ピンク色のキャミソールを着ていた。写真通り、凄い可愛かった。


「初めまして！　本当に来るかって半信半疑だったけど、来てくれてとっても嬉しいです」


「こちらこそ！　私とストレス発散してくれる人がいるなんて、光栄です！」


「じゃあ、早速乗って！　ここからじゃ神奈川は遠いからお台場でも行こうか！」


「お任せします」


ゴーグルが付いているワインレッドのヘルメットを彼女に手渡した。


彼女は本当にバイクに乗ったことがないらしく、ずっと腰にしがみついていた。ヘルメットのつけ方も教えてあげた。凄く怯えていたので、頭をぽんぽんっと軽く叩いた。


「出発だよ！　ゆっくり行くから大丈夫！」


「はい！　遊園地の乗り物も苦手なんでお願いします！」


「了解！」


ガッガッ、ガッ、ブロロロロ……！　エンジンがかかり、バイクが走り出す。


なんだか懐かしい気持ちになった。恵美もバイクには乗ったことが無くって、凄く怖がっていた。あの頃の切ない気持ちが、ほんわかと蘇って、ニコニコと笑いながらバイクを運転した。
< 179 / 672 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop