最後の血肉晩餐
「大丈夫そう? 怖くない?」


「大丈夫そうです! 風が気持ちいいです! あははっ!」


そういいながらも、腰にぎゅっと力が入っていた。俺は途中、わざと急ブレーキをかけ、背中にぶつかる胸の感触を楽しんでいた。


「もうちょっとだよ。着いたら水辺に行こう!」


「はい!」


やっとまともな出会いが出来て、だいぶ有頂天になっていた。


お台場の水辺の駐車場に着いてバイクを停める。微かに海の匂いがした。


彼女がなかなか降りないので、見てみると足がガクガクと震えている。俺は静かに微笑むと、彼女を両手で持ち上げ、降ろしてあげた。


「ごめんね! 怖かったんだね。でも慣れれば、もっともっと気持ちよくなって、病み付きになるから!」


「そうだと思います。風がとても気持ち良かったですから!」


俺に向けられた、彼女の笑顔はとっても可愛かったので、手をひっぱり水辺に連れて行った。
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