最後の血肉晩餐
 彼女がレインボーブリッチを見渡しやすい場所をキープし、ハンカチを敷いて座らせた。


「友介さんって優しいんですね。彼女と別れてからどれくらい経つんですか?」


「俺は半年くらいだよ~南ちゃんは?」


「私は一年半くらいは立ちますかね……そういえば私の友達も葬儀屋さんとお付き合いしていて、半年前に別れたって言ってたなあ。

葬儀屋さんとの出会いって、この業界多いのかも知れないですね」


「そうかもね~!」


恵美の顔をまた思い出してしまった。その友人って恵美のことかも知れないな。マイミミだったし。


「俺もこの出会いを大切にしたいな。南ちゃんはどう?」


言葉を聞いてるのか、聞いてないのか、心地の良い風をうけとめ、南は海辺をずっと見つめていた。揺れる髪の毛がとても綺麗だった。
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