最後の血肉晩餐

山村桃。賢二の彼女。珍しく俺の携帯へ連絡が入った。


「何度連絡しても、留守番電話になってしまうし、会社にも行ってないみたいなの。

お願い！　一緒に賢二のマンションに様子見に行ってくれないかな？　こんなことは今まで無かったから……」


その弱々しい声が賢二だけじゃなく、桃の方も心配になった。


桃と賢二、二人が付き合っていた高校時代から見ているが、桃は気が強く、賢二の浮気を何度も発見しては、殴り合いの凄まじい喧嘩を繰り広げていた。


だが決して、桃は離れなかった。星の数ほど喧嘩をしたとしても、好きと言う気持ちは変わらなそうだった。


賢二も桃と居ると、結局一番居心地がよさそうだった。毎回会う度に、二人の愛の強さを感じさせられていた。