最後の血肉晩餐
 覚悟を決めて、桃のほうへ足を進ませた。


「桃、大丈夫か?」


ガタガタと震える桃を立たせようと、全身の力を使い、持ち上げようとしたが、びくともしなかった。俺はその錘のような体に断念した。


「あぁ……どうして? イヤアアアアア!!!! あれは賢二じゃない!」


急に叫び声を上げ、大量に涙を流し、桃は畳に顔を伏せた。


更に意を決し、嗅いだこともない、様々な異臭が混ざり合った暗黒の部屋に入り込んだ。
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