最後の血肉晩餐
 ――やばい! 急いで帰らなきゃ。


慌てて階段へ向かい、駈足で降りた。


「二度とこんな場所に来るものか! ドリアン屋敷め!」


ぺっとつばを吐き捨て、扉を勢いよく開け一目散に逃げた。


体の疲れと、酒の効き目、飲まされたと思える睡眠薬……緊迫からの開放感でそれらが急に反応し、頭がもうろうした。


その後、どう家に帰ったかは覚えていない。


目が覚めたときには、見慣れたいつもの天井が見え、布団の上にいた。
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