最後の血肉晩餐
「え、恵美ぃ……素直じゃなくってゴメンな……ぐえええええ!!!!」


「分かったわぁ~! ここが骨と骨の隙間よぉねぇ!? 感触がそう言ってるわよぉ~! 友介さんを苦しめて、ごめんなさいねぇ! スパッといけるかしら? ……今更、悔い改めても遅いのよぉ? 人は死ぬ間際じゃないと今まで幸せだったことに気づけないのかしらねぇ? か・わ・い・そ・う!」


――ギギギギ、ぐちゅ、ギギギギ、ブシュー!!!!


「綺麗なガーネットの血の噴水だわぁ~……天井まで届いちゃうかしら? くすっ。あははははは! おかっしぃー! きゃはははは!!!! 友介さん? あら~! 首がプランプランじゃない? ガーネットの血の噴水が綺麗過ぎて頷いてるのかと思ったじゃなーい! おっかしぃ~! のこぎり引く度に首が動くわねぇ~! まるで操り人形のようね! もう少しよ……もう少しで……貴方は私と一心同体になるの――」


――ぐちゅり、ぐちゅり、ぐちゅり


「この骨を突破したら、簡単なはずよぉ~? 肉と脈しかないんだから! 切り方は牛肉と同じよねぇ~! 滴る血の刺身やステーキもいいけど、たまには唐揚げっていうのも良いわね? 恵美にリクエストしちゃおぉ~きゃはははは!!!! ほら、頷きなさいよ! 頷いてと言ったのに、首を横に振るの? どっちなの? 言いなさいよ! 首を振り子のように揺らさないで、ほら! こうやるの! こうよ! 分かった?」


――ぶちゅり。ぶちっ……コロン――ガチャリ。


「あっ……首がないのに、立ち上がるかと思いましたわ? 首がもげちゃいましたね? 最後は力任せに、なってしまったかしら? 首が取れると胴体が、立ち上がろうとするって本当だったのねぇ――ちょっと私ったら、はしたなかったかしら? この生首はすぐにホルマリン漬けにしないとね! 

やっと手に入れたわ! 主よ! 貴方の表情を見つめるたびに崇めます! この生首は貴方の化身! 貴方の唇に誓いの接吻を!」

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