最後の血肉晩餐
悪食の果て
 あの部屋は防音だ。聞こえるはずがない……なのに、なんで? 頭に友介の叫びが、悲鳴が木霊する。まさか、そんな訳あるはずがないわよね? あの御呪いは完成されたのだから……シスターが友介を好き? ストーカーなの? でも私に友介を手に入れる方法を教えてくれた。だけど今は――ココへ囚われている。シスターを信じたいけど、身体がガクガクと震えて仕方がない。友介が真実なの?


――コツ、コツ、コツ、コツ。


足音が聞こえる……音が近づいてる。階段を上ってココへ向かってるんだ……やっぱり怖いよぉ。友介の言っていることが本当だとしたら? 考えるのも恐ろしい。


ゴミのような悪臭と混じって、血生臭い匂いも香ってくる。嗅ぎなれたあの匂い。


ああ……駄目。匂いが強すぎるよぉ……きっと間違いなく、真実はすぐそこにあるんだ。知りたくない、なにも見たくない。


浴室の角で体育座りで蹲っていた私は両手で頭を抱えていた。寄り掛る壁に安心感を得ようとしたが、震えは止まらなかった。
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