最後の血肉晩餐
友介の断末魔
――シスターの甲高い不気味な声が脳に木霊している。いや、コンクリートの部屋にビリビリと響いてるだけなのか?


「頷いてと言ったのに、首を横に振るの? どっちなの? 言いなさいよ! 首を振り子のように揺らさないで、ほら! こうやるの! こうよ! 分かった?」


視界の壁が左右に、上下に揺れる。体の半身が血で温かく滑っている。手先の血はカサカサと乾き、ほろ痒い。


俺の血ってこんなに生臭かったんだ……指先、足の爪先、徐々に体が氷つく。


――ぶちゅり。ぶちっ。ぶちっ。


神経が一本、一本壊れていく……俺の体から消えていく……最後に恵美に、ちゃんと謝れば良かった。


お前を追い詰めたこと。後悔しているよ……俺だって、好きだったんだ。お前を忘れる為に、いけない行為をしてしまっただけなんだ。


やっぱりお前が、俺にとっては最高で、一番だったんだ――愛してる。
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