最後の血肉晩餐
 遺族を椅子に座らせ、俺の悠長な司会を始めさせてもらう。


遺影には5歳の可愛い女の子のような男の子の姿があった。


海で巻き込まれ亡くなったらしい。この夏の時期、水の事故は多すぎる。水死体はひどいもんだ。


こんな天使の様な男の子でも水死体になったら、ブヨブヨになり、手足が取れそうになる。悪魔のような裸体に大変身。悲惨な状態だ。


その変わり果てた顔を遺族達が見、焼香する。泣き叫ぶ遺族を見ながら、司会に専念、喋り捲る。いつもの光景。


ふっと思うことがあるんだ。


うるせーな、泣いて何が変わるんだよ。俺は早く帰りたいんだよ。進行の邪魔だってね。心が壊れてしまってるのか? とたまに問う。


いけない。今日は終わったらビックイベントがあるんだった。重い暗い雰囲気にのまれるところだった。


ビックイベント。


それは俺の心の癒し、誰にも内緒の女釣りゲーム。


今日も一匹引っかかってるのさ。こんな暗いお芝居とっとと終わらせてやる。
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