私は最強ビンボー女!
緋月ちゃんは、私の瞳を見た。


暗い翳りのある瞳は、どこか儚げで。

その視線は、幻のよう。



うっすらと笑みを浮かべて、緋月ちゃんは質問には答えずに言った。


「瞳・・・コバルトブルーで、綺麗。」



私はにっこりと笑った。


「ありがとう。私もね、この瞳、好きだったんだ。」


緋月ちゃんは小首を傾げた。


「好き"だった"?」


私は微笑みながら頷く。


「うん。好き"だった"の。」




今はね?


好きなんて、言えないの。


素直に綺麗だって、チャームポイントだって、言えない。




だって、この瞳の色は――朝霧家の証だから。


朝霧家の直系だっていう、印だから。





私は、微笑みを消して、緋月ちゃんを真っ直ぐに見つめた。


翳りのある黒い瞳を、射るように見つめる。




「ねぇ・・・緋月ちゃんの瞳は、なんで翳ってるの?」




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