私は最強ビンボー女!
「源蔵さん、私、こっちが素なんです。

さっきまでのは"朝霧青菜"です。で、今の私は"倉本青菜"なんです。


すみません、説明してなくて。

驚きましたよね?」



源蔵さんは、頷いた。


「はい。かなり驚きました。

でも、そういえば朝霧家の直系は、そんなことができたんでしたね。」



納得したというように、源蔵さんは言い、私を見た。


「では、今は朝霧家の次期社長ではないのですね?」


「はい。」


「それならば、敬語はやめましょうか。

そちらも、こんな老いぼれに敬語を使う必要はないぞ。」



そう言って、源蔵さんはカラッと笑った。


私も、笑い返した。


「じゃ、お言葉に甘えさせてもらおっかな。

そろそろ行こっか、源蔵さん。」


「そうだな。」





そうして私は、源蔵さんの後について歩いた。


奥へ、奥へと。




数分後に着いたのは、さんさんと日の差す、襖の前だった。


他の襖と同じ色と柄の、いたって普通な部屋の前。





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