私は最強ビンボー女!
初めて見た、お祖母ちゃんの笑顔は。


泣きたくなるくらい優しげで、穏やかで・・・無条件に安心しそうになる。



日岡さんの笑顔は。


目じりが垂れて、優しそう。

しかも、イケメンだけあって、カッコイイ。




初めて見た2人の柔らかい本当の笑顔は、胸を温かくさせるのには充分だった。







――でも、なんでだろう。



視界の隅に捕らえた葉月が、微笑んだ日岡さんを見て。


愛しそうに・・・それでいながら苦しそうな表情を浮かべているのは。




そんな葉月を、源蔵さんが悔しそうに見ているのは。



ねぇ、源蔵さん。なんで・・・・・・




なんで、源蔵さんの瞳にも、後悔の翳りがあるの?



薄い薄い翳りだったから、今まで見逃してたのに。


なんで、今、その翳りが濃くなったの?



ねぇなんで・・・?



疑問が渦巻き始めた時、お祖母ちゃんがゆっくりと口を開いた。


「まさか、同じことを思うとわの。」



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