私は最強ビンボー女!
湯のみを両手で持ったまま、お祖母ちゃんは私を見た。


私は、今お祖母ちゃんが私を見る数倍、じっとお祖母ちゃんを見た。




「お祖母ちゃん、私のおかげなんかじゃないよ。」


ぐっと拳を握り締めた。


私なんかが、お祖母ちゃんを前へ向かせられるわけがないじゃない。



お祖母ちゃんは、問いかけるような眼差しで私を見る。


視界の隅で捕らえていた葉月は、なぜかふわりと微笑んだ。




え?なんで?と、心の片隅で思いつつも、私はそれには触れずに、言葉を続けた。



「お祖母ちゃん。お祖母ちゃんが前を向けたのは、私じゃなくて、お祖母ちゃん自身のおかげだよ。」


お祖母ちゃんは、目を見開いた。


「は?青菜、何を言ってるんだい?青菜が「だから違うって!」



私はお祖母ちゃんの言葉を遮る。



「私は協力しようって言っただけ。

それに乗るか乗らないかは、お祖母ちゃんが決めること。


つまり、乗ろうって、前を向こうって決めたのは、お祖母ちゃん自身。

だから、前を向けたのは、結局のところお祖母ちゃん自身のおかげってこと。


私は、キッカケを作っただけ。

キッカケは、誰にだって作れるから、私は大したことはしてないの!」


そう言って、私はにっと微笑んだ。


お祖母ちゃんは困惑したように、視線を宙に彷徨わせている。




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