私は最強ビンボー女!
「殺したくない。」


小さな呟きだったけれど、静まり返った広間には、充分すぎるほどによく響いた。





「人を、殺したくなんてない。

けど、けどっ・・・・・・


もう、俺は、人を殺しすぎたっ・・・・・・」








――ドクンッ



彼の瞳に宿る、翳り。




苦しみ、苦しみ、苦しみ――。





苦々しい口調。

必死な言葉。



「青菜様には、解らない。

人を殺した事のない青菜様には。


葵様にも解らない。

命じられたままに殺した事のない葵様には。」




何か。


何かが、起こっている。



スーツ男の瞳に宿る光は、希望ではなかった。





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