私は最強ビンボー女!
「葉月、今普通に起きてるじゃん。

日岡さんから命じられてたのに、いいの?」


私がベッドの傍らに立つ葉月を見上げて聞けば、葉月はスススと視線を下げた。


「・・・・・・・・・駄目、だけど・・・・・・例外・・・。」

あぁ、なんて小さな声。


従順な葉月だもん。

命じられた事を破るのは心もとないのだろう。



でも、なんで例外?

私の病室に来ることが、なんで例外?


記憶を少し探ればすぐに、あぁ、と、納得できた。


「葉月、私と友達になってくれるんだったよね?」

頬が緩むのを抑えられずに聞けば、葉月はほんのり頬を染めて頷いた。


「・・・うん。そうよ。友達に・・・なってあげるわ。」


ぽつぽつと呟くように言う葉月。

可愛いっ!!!



「わぁい!やったぁ!葉月、ありがとー♪」

嬉しくなった私は、さっと葉月の両手を取り、ぶんぶん上下に振り回した。


葉月はなんと、嫌がらずに、逆にはにかんだ。

可愛すぎるー!!!


私は心の中で叫び、葉月に笑いかけた。

「へへっ♪なんか、ウキウキするね!」


葉月は私を見て、1つ素直にコクンと頷いてくれた後・・・するりと、はにかみを消した。

真っ直ぐに、真剣な顔で私を見つめ始めた葉月。


きりりと、空気が張り詰める。

私は、葉月の両手を、きゅっと握り締めた。



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