私は最強ビンボー女!
フッと言葉を切った葉月は、静かに私を振り返った。

貫くような視線を向けるのに・・・その瞳は、いつもの光がないように見えた。


気のせい?

まさか。


違う。気のせいなんかじゃない。

葉月の瞳の翳りが――濃くなってるんだ。


葉月がくいっと、片方の口角を上げた。

皮肉な笑みは、どこか自嘲気にも見えた。


「私達の"好き"という気持ちは、"大切"という思いは・・・重荷になると・・・気付くのが、遅かったのよ。

事が起こってから、気付いたんだもの。」


いい終えると、葉月は皮肉な笑みを消し、静かに私からまた、顔を背けた。


「――あのね、青菜。

私と緋月は生まれたその瞬間から・・・試されていたのよ。」



試す?

何を?と、聞くより前に、葉月が言葉を紡いだ。



「どちらが小野家の次期当主にふさわしいかを、試されていたのよ。

・・・・・・私と緋月が、双子だったから。」


私はじっと、睨むように葉月の後頭部のおだんごをみつめながら、耳を澄ます。



「私と葉月は、小野家の子供として生まれた。

青菜、小野家なんて知らないでしょう。」


「うん、聞いたことも無い。」


「そう、知らないし、聞いたこともないはずよ。ほとんどの人は、ね。

小野家はかなりの財閥なだけど、全く有名じゃないのよ。

別に、しょぼい家じゃないわよ?むしろ逆。立派よ。」




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