私は最強ビンボー女!
これまでの話の筋からだと、緋月ちゃんには悪いけど、葉月の方が跡取りになるんじゃあ・・・




「"脱出したところまでは、葉月の方を跡取りにする気だった。

けれど、緋月を助けようとしたところで、すぐに気を変えた。

小野家の跡取りに、人に情けをかけて、自分を危険に晒す人はいらないからだ。"


父親はそう言ったわ。」



平坦な声で呟かれた言葉が、私には理解できなかった。

何それ・・・。



「それで、私はお金と引き換えに、違法の・・・売春を仕事とする団体に売られた。」


!!!!!


「売春を仕事する団体!?」

私はついに叫んでしまった。


葉月は至って平静で、静かにコクリと頷いた。



「そう。10歳だったのにも関わらず、私が知らない男の人達に抱かれた。

といっても、そんなに頻繁じゃなかったよ。

なんてったって、10歳だから。


でも、中学生になると、急にたくさん抱かれるようになった。

成長期で、体も変わってきてたしね。


それで私は――耐えられなくなったんだ。


だから、逃げ出した。



そうして、ふらふら街を彷徨って何日目かに、葵様に出会ったの。


暗い裏路地で、空腹と疲労でうずくまっていた時だった。

ふと、人の気配を察して顔を上げたら、お婆さん・・・葵様が、立っていたんだ。」



< 613 / 836 >

この作品をシェア

pagetop