私は最強ビンボー女!
なんだか、ほんの少し、胸の奥がざわざわする。



『『青菜を助けにきた』』


陽と翼の言葉と、絶体絶命の時に握られた手のぬくもりが、頭の中から消えない。





鮮やかに蘇って、私は不意に泣きたくなる。


本当は、本当は・・・すごく、すごく欲しかった。

温もりが、欲しくて欲しくて、たまんなかった。



あの時私は確かに、欲しかった温もりがもらえた。

馬鹿だけど、あの状況で安心してた。

嬉しかった。





でも―――



あれは、非常事態だったから。

だから、あの2人は私の手を握ってくれたんだ。


助けてくれたのだって、きっと糞親父らから命令されたから。

ただ、それだけ。




分かってる。

期待なんてしない。




だって、そうでしょ?


あの行動はほとんど全部、陽と翼の意思からのモノじゃない。



分かってるのに期待して惨めになるなんて、ありえないし。





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