私は最強ビンボー女!
葉月は一瞬、ほんの一瞬、泣きそうな顔になった。


くしゃりと歪んだ顔に、日岡さんが目を見開いたのが分かる。




――でも。


そんなのは一瞬のこと。



葉月はすぐにいつものポーカーフェイスに戻り、何も言わずに教室を出て行った。


束の間、ギロリと私を睨んで。





・・・・・・やっぱダメ、か・・・。



「あーあ。睨まれちった。」


「・・・・・・青。どういうことだ?」




イスにもたれかかれば、日岡さんの困惑しきった声が聞こえた。


日岡さんに目を向ければ、真っ直ぐな日岡さんの瞳と視線が交わった。




「どういうことって?」


「・・・葉月の、あの反応のことだよ。」



眉をひそめている日岡さん。


・・・葉月の気持ちに気付いてなかったの?




「葉月は俺が鬱陶しいんじゃないのか?」



ゆらゆら揺れるような声に、あぁ、と気付いた。




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