私は最強ビンボー女!
慌てた私は、全力で首と手をふる。


「えー?そこまで拒否しなくてもいーじゃん。残念だなぁ。」



へらへら笑う哉。

耳たぶについている金色のピアスが、寂れた街灯の光を弾いて時折光る。


それを見ながら、ぼんやりと思った。

・・・・・・上手い、なぁ。



「哉って、かわすのが上手いね。」


「いやぁ、そこはうまーく流されとくとこでしょ、青菜。」



へらっと笑う。

・・・また、かわそうと、流そうとする。





チャラチャラしてる哉は、いつだってへらへら笑ってる気がする。


怒った顔も、不機嫌な顔も、不安な顔も、必死な顔も、見たことがない。

真顔さえ、見たことがあったかわからない。





――あぁ・・・そうだったんだ。

女なんか嫌いだと豪語する彼方の方が、私に本当の顔を見せてくれてたんだ。


愛想笑いなんかせずに、不機嫌な顔でつっかかってきた。

まぁ、取り繕うのが面倒臭かったってのも、ありそうだけど。




だけど、哉は。



「・・・知りたいってだけじゃ、やっぱりダメかなぁ?

興味本位じゃ、踏み込むのは許されない?」





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