私は最強ビンボー女!
青菜はさらりと呟き、あっさりと哉の腕を退かす。



「ちょ、暑いって青菜・・・そこは俺らの愛でカバーだろ?!」


「暑いもんは暑い。そこはもう仕方ないんだよ。」


「うわひっでー。」




言葉だけ見れば、確かに彼氏彼女に見えなくもないが・・・青菜の口調が、彼女だと思えない。

妙に冷静で、どこか苛立っているような声。



現に、拳がぎゅぅっと握り締められている。






・・・もしかして、哉に無理矢理彼女にさせられたんじゃ――「陽。」



思考を遮ったのは、青菜の意志の強い声。




青菜も俺も、もう、視線を彷徨わせたりしない。

お互いの視線が、真っ直ぐに絡んだ。


青菜が静かに口を開く。







「・・・気持ちは、すごく、すごく嬉しい。

けど、無理だ。

私は今哉と付き合ってるし、それに――」



そこまで言って、青菜は曖昧に微笑んだ。


はぐらかされるような気がして、咄嗟に口を開いた。





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