私は最強ビンボー女!
私はふつふつと沸きあがってくる違和感に眉をひそめた。



なんで、ばかりが増える。


なんでコイツは陽や翼でさえ知らなかった葉月と緋月ちゃんのことを知っているのか。

なんで哉が敵対する暴走族・・・雷虎の総長なのか。

なんで哉は、緋月ちゃんを誘拐したのか。




――緋月ちゃんを誘拐したのが哉だとすれば、さっきの電話をどう受け取ったんだろう。


ふとそんなことを考え、心の中で苦笑した。




意味はない、か。


あぁ、だけど――




「横江哉は紅狼総長を裏切っているのだな。」


「暴走族ってのは、危ない集団で、そこでの裏切りなんて日常茶飯事だよ。

・・・けど。俺らの総長は裏切ってねーよ。

ただ、逃げてるだけだ。」



浮かべられた笑みは、やっぱり哀しげで。

そこにはかすかに哀れみも浮かんでいた。





「仕方ないんだよ。

別に、狩人サンに分かってもらおうとは思わないけど。」


「仕方ない、か。それこそ、危ない集団じゃ許されないのではないか?」


「ハハッ、平気だ。紅狼総長、土井翼は・・・甘いから。

馬鹿みたいに、甘くて、優しいヤツだから。」





< 786 / 836 >

この作品をシェア

pagetop