私は最強ビンボー女!
ギッと睨みつけた。


あったんだよ。私にだって。

かすかにだけど。乙女心ってやつが。夢、が。願望が。




「あんたが言ったんでしょ?

キスしてくれるならお願い聞くって!

教えなさいよ!そんで・・・ちゃんと助けてあげてよ!」



私の剣幕に飲まれたように、哉が俯いてぼそりと言った。



「・・・・・・一番奥の、左側の部屋。」


「了解。」



哉に背を向け、駆け出した。


―――と。





「彼方・・・?」


なんで、私の横に並んでるの?




「助けるの手伝う。

そもそも俺、助けるために来たんだ。

・・・先に哉見つけて喧嘩ふっかけちまったけど。」



ぼそぼそと無愛想に言葉が紡がれる。


私は走りながら彼方に聞く。




「助けるためにって・・・でも、なんでここがわかって?

というかそもそも、どうして誘拐されたった気付いて?」




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