私は最強ビンボー女!
「だから、こんな目に合わすことだってできる。」


くいっと緋月ちゃんを顎でさす彼方。



葉月が、息を吸い込む。


「根性腐ってるわね、あなたも。

普通、できないでしょうよ。」


「あぁまぁな。けど、哉はこの通りやったし、俺も――」




彼方が、どこか遠い目をする。

ぼんやりとした口調で、言った。・・・言い切った。





「哉がやってなかったら、やってただろうな。」









―――彼方の瞳にある、翳りが、濃い。


ぽつりと、彼方はこぼす。




「そう、やってだろうな。俺は。

っはは。そうだ。・・・そう、なんだよ。」







くしゃっと、彼方が顔を歪ませる。





「哉はいつもそうなんだ。」






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