私は最強ビンボー女!
「陽の気持ち知った上で言ってんのか、テメェ。」


彼方の、今にもぶっ殺してやろうかアァン?的なドスの聞いた声が聞こえた。



「そ、そんときは知らんかったし。」


「へぇ、でも知った今でも彼女だって言うんだ?」




――陽の、真っ直ぐな目が、不意に、脳裏に蘇る。


嘘だ、と思った。

嘘だ、と、思いたかった。



だって、






「うん、言うよ。」




私には、その瞳を見つめ返す覚悟がない。


怯えたまま、勇気を持てずに、逃げたまま。



――温もりなんて、一番なんて、いらない。

だってどうせ与えられない。




そう、思ってたんだ。思い込ませてきたんだ。


それを、その思い込みを、180度変える覚悟なんてない。

180度変えて、あの瞳を真っ直ぐに見つめ返す勇気なんてない。



戸惑う。

これでもかっていうほどに。

戸惑って・・・怖れてる。




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