私は最強ビンボー女!
その瞳は、本当に私を見てる?私を映してる?


私に"誰か"を重ねてるんじゃないの?

――糞親父のように。




「なんでだよ?

彼氏が欲しいんなら、女ったらしの哉より陽のほうが何百倍もいいだろ?」


「女ったらしの方がいい。」


「M?」


「そうかもね。」


素早く返事をして、にっと笑う。

この話はこれでおしまいって意味を込めて。


彼方が不満げに眉をひそめる。



「・・・陽に、返事はいつすんの。」


「したようなものじゃん?だって私は哉の彼女だよ。」


「陽は納得してねぇだろ。そんな恋愛感情皆無の彼女なんて。」


「陽は納得してなくても、私と哉はしてるもん。」


「はぁ・・・陽、マジ不憫。」


「諦めちゃえばいいのに。」



思わず漏れた呟き。

ハッとしたときには、もうすでに彼方が私をじっと見ていた。


何もかも見透かすかのような瞳が、真っ直ぐに向けられて、少し痛い。



「諦めてほしいんだ?」


「べ、べつにそんなわけじゃ・・・ない、わけでもないような・・・?」




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