*正しい姉弟の切愛事情*
「あいつ絶対、ヤルことしか考えてねーよ」
「な、何言ってんの!」
中学生の弟にそんなこと言われて、さすがに黙っていられない。
「そんなわけ……ない、でしょ」
根拠があるわけじゃないけど、悔しいから否定する。
でも口から零れた声は弱々しくて説得力のかけらもなく、瑞貴は鼻で笑って「バカだな~一歌は」と私を見た。
「あいつ、俺が帰ってきたらすげー残念そうだったじゃん。家に上がりこむつもりだったんだよ」
「……」
「もっと男見る目養えよな」
そう言い捨てると、瑞貴は牛乳を冷蔵庫にしまい、さっさと2階の自室へ上がっていってしまった。
何も言えないまま、その背中をただ見つめる。
……な、生意気……
虚しく、心の中でつぶやいた。