*正しい姉弟の切愛事情*


「あいつ絶対、ヤルことしか考えてねーよ」

「な、何言ってんの!」


中学生の弟にそんなこと言われて、さすがに黙っていられない。


「そんなわけ……ない、でしょ」


根拠があるわけじゃないけど、悔しいから否定する。

でも口から零れた声は弱々しくて説得力のかけらもなく、瑞貴は鼻で笑って「バカだな~一歌は」と私を見た。


「あいつ、俺が帰ってきたらすげー残念そうだったじゃん。家に上がりこむつもりだったんだよ」

「……」

「もっと男見る目養えよな」


そう言い捨てると、瑞貴は牛乳を冷蔵庫にしまい、さっさと2階の自室へ上がっていってしまった。


何も言えないまま、その背中をただ見つめる。


……な、生意気……


虚しく、心の中でつぶやいた。


< 11 / 428 >

この作品をシェア

pagetop