*正しい姉弟の切愛事情*
もしかして、あたしはすでに、毒に冒されているのかな。
青く澄み渡った空の下で、ふと思った。
柔らかな風が吹き抜ける屋上で、私の膝の上にはふわふわの頭がのっている。
昼食後の穏やかな時間。
私の膝枕で気持ちよさそうに目を閉じている石川君。
漫画やドラマだったら、すごくときめくシチュエーションなのに、どういうわけか私の心臓は鳴らない。
それどころか、頭ってけっこう重いな、なんて思ってる。
恋愛的行為の当事者だというのに、なんでこんなに客観的に捉えているのか不思議だ。
まるで他人事みたい。
気づかれないように溜息をついて、膝に預けられている顔を覗き込んだ。