*正しい姉弟の切愛事情*
瞼を下ろした切れ長の目。
それは瑞貴の丸い大きな目とは全然違う。
それから唇。
石川君の唇は厚みがあって、キスをすると少し押し返されるくらいに弾力がある。
でも瑞貴のは厚くも薄くもなく、とても形がきれいで、それなのに柔らかくて……。
――って、何比べてるんだろう、あたしってば。
急激に顔が熱くなって焦っていると、不意に閉じていた石川君の目が開いた。
ドキッと心臓が跳ねる。
ときめきではなくて、頭の中を透かし見られたような、罪悪感からくる胸の響きだ。
けれど、石川君はそんな私に気づくことなく、ふわっと笑った。
「膝枕、きもちいー」
無邪気な微笑を見て少しかわいいと思った。
でも、幸せを感じることはない。
幼稚園児を可愛いと思うのと同じ、 あくまで第三者的な目線だと自分で分かっていた。
最近、石川君といても、どこか冷めてる自分がいる。