*正しい姉弟の切愛事情*
「いた――」
口を塞がれて、そのわずかな隙間から、瑞貴が滑り込んでくる。
「っ」
濡れた舌の感触でいつか唇に触れた石川君を思い出し、身体が一瞬こわばった。
けれど――
ためらいながら浸入してくる舌先に、嫌悪感は湧かない。
むしろ、くすぐったくて痺れるような感覚に、何も考えられなくなっていく。
なに、この感覚――
こぼれる吐息が熱い。
実際は味なんかしないのに甘いと感じてしまうほど、
深い、キス――
口内でうごめく瑞貴に、思考がとろけそうになる。
「み、瑞貴!」
心に絡み付く、心地いいけれど得体の知れないものを振り切るように、力いっぱい腕を張った。
私に突き飛ばされる形で、弟は一歩後退する。