*正しい姉弟の切愛事情*
肩で息をしながら、お互いに見つめあう。
「す、ストップ」
そう言うと、整った顔が不満げに歪んだ。
「何――?」
「……」
なんでそんな、不機嫌そうな顔すんのよ――
「やっぱり、ダメだって」
自分でも驚くくらい弱々しい声だった。
瑞貴は唇を突き出す。
「なんで」
ふてくされたような態度に焦るばかりで説得できそうな言葉が浮かばない。
「き、きょうだいだし」
「血は繋がってない」
「そういう問題じゃ……」
まっすぐに見つめられ、何も言えなくなる。
ダメだ、うまく説明できない。
自分の胸の中にかかるモヤみたいなものを、どうやって表現したらいいのか分からない。