*正しい姉弟の切愛事情*


「……だって、あたし……彼氏がいるし」  


言い訳めいた言葉を口にした瞬間、瑞貴の表情が険しくなった。


「あの男のこと、本当に好きなのかよ?」

「え……」


針の先で突かれたみたいに、胸が痛んだ。


「一歌があの男を本当に好きなら、とっくに俺を拒んでんじゃないの?」


言い終わらないうちに顔が近づいて、チュッと唇が触れ合った。


「ほら、拒まない」

「――……」


小さく笑う弟の顔がひどく妖艶で、身動きが取れない。

固まっている私の手を引っ張り、瑞貴はベッドに私を突き飛ばした。


「きゃ」


白いシーツに抱きとめられるように倒れこむと、視界が暗くなる。
 

ベッドに仰向けになった私の上に、弟が四つん這いになって覆いかぶさった。



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