*正しい姉弟の切愛事情*
窓から差し込む日差しが、くすんだ廊下を四角く照らしてる。
その上をいくつもの上履きが通過していった。
階段に向かって流れていく男子生徒の背中は、たいてい大きくて、広い。
中には小柄な人もいるけれど、それでも瑞貴の背中よりはがっしりしているように見えた。
2才の年の差は、こんなにも体の大きさに表れるものなの……?
そんなことを考えていた瞬間、
「いちかっ」
背中をトンと叩かれて、あわてて顔を上げた。
切れ長の目がまっすぐ私を見下ろしていて、一瞬体がこわばる。
「い、しかわ、君……」
「なんかぼーっとしてんな? 具合でも悪い?」
ひょろっと長い体を折り曲げるようにして顔を覗き込まれ、急いで両手を振った。
「う、ううん、平気」