*正しい姉弟の切愛事情*
4人掛けの小さな食卓に、食器を並べる。
もう一度2人分の食事が整ったことを確認し、エプロンを外しながら階段を上った。
上がってすぐの弟の部屋のドアには『無断入室禁止』と書かれた張り紙があった。
拒絶オーラがムンムン漂っているそのドアを、躊躇いながらノックする。
「瑞貴、ご飯できたよ」
「……」
声をかけても中から返事はない。
もう一度、今度は少し強めにノックした。
「瑞貴? ごはん―」
「……」
しばらく待ったものの、やっぱり反応はない。
このままじゃ夕飯が冷めちゃう。
せっかく今夜は瑞貴の好物を作ったのに。
そう思って、私はおそるおそるドアノブに手を伸ばした。