*正しい姉弟の切愛事情*
ユリの微笑は慈愛に満ちている。
自分という芯はしっかり持ってるのに、周りへの気配りが半端じゃない。
どうしてそんなに余裕があって、どうしてそんなに強いんだろう。
……やっぱり、いい恋愛をしているから、同性の目から見てもこんなに魅力的なのかな?
可愛くて、穏やかで、性格も良くて、素敵な彼氏がいて、
あまりにも完璧で、嫉妬してしまいそうなほどだ。
「一歌?」
黒目がちな大きな目に見つめられて、慌てて顔を逸らした。
「なんでも、ないの。ほんとに」
しぼんだ声が床に落ちる間際、バン! と大きな音を立てて部屋のドアが開かれた。
「一歌ぁ!」
満面の笑みで姿を現したのは、
「エリカちゃん!」
驚いて声を上げた瞬間、モデル体型の体が被さるように抱きついてきた。