*正しい姉弟の切愛事情*


ユリの微笑は慈愛に満ちている。

自分という芯はしっかり持ってるのに、周りへの気配りが半端じゃない。

どうしてそんなに余裕があって、どうしてそんなに強いんだろう。
 

……やっぱり、いい恋愛をしているから、同性の目から見てもこんなに魅力的なのかな?
 

可愛くて、穏やかで、性格も良くて、素敵な彼氏がいて、
 
あまりにも完璧で、嫉妬してしまいそうなほどだ。



「一歌?」


黒目がちな大きな目に見つめられて、慌てて顔を逸らした。


「なんでも、ないの。ほんとに」


しぼんだ声が床に落ちる間際、バン! と大きな音を立てて部屋のドアが開かれた。


「一歌ぁ!」


満面の笑みで姿を現したのは、


「エリカちゃん!」


驚いて声を上げた瞬間、モデル体型の体が被さるように抱きついてきた。



< 131 / 428 >

この作品をシェア

pagetop